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 2000年夏、勝浦川流域のとある小学校の女の先生から「子どもたちのために、川のお話をしていただけませんか?」というお便りが届きました。総合学習の一環として授業を行うというものです。さてさて、どんな顛末になったのか?


 時間は3時間ありました。まずはうち解けるためのオリエンテーション(グループ分け)を30分、野外に出て歩くこと1時間半、残りの時間をみんなで考える時間としました。

 テーマは任されていたので、近所の様子を下見して「川はどこから来るの?〜大きな川と小さな川」にしました。勝浦川本流とその支流の谷川を訪れて、「違うと思ったところ」「不思議に思ったこと」をその場でふせんに書いてもらい、学校へ戻ってからは、それらを模造紙に貼り付けて整理し、「それはなぜ?」をみんなで考え、「これからどうしたいか」をグループ毎に発表するというものでした。
  意外だったのは、学校から歩いて 15分ぐらいのところの谷川なのに、半数以上の子どもが「生まれて始めた来た」と答えたことです。そこには清冽な水が流れていました。「こんなきれいなとこ知らなんだ」とも。やがて高校、大学、社会人と進み、故郷を振り返ったとしても、故郷の風景を思い出せないまま、川と自分が渾然一体となる心地よさを身体に刻まないまま、生まれた場所に戻って来なくなるんですね。

 いつのまにか「ひらいっちさん」とあだ名が付き、ひっぱりだこになりながら(一度に数人のリクエストを聞きわける聖徳太子になって)給食まで付き合うことになりました。36人のクラスは、にぎやかなで多様な個性があり、それでいてまとまっていました。なんと言うのか、自発的に礼儀正しいのです。都市部の学校もそんな感じなのでしょうか?

 子どものいきいきとした反応を見ていると教えられものがあり、わくわくの連続で大成功かなって感じでした。知識を教えることなく「それはなぜ?」と問いかけることで、子どもが自分で感じ、自分で考え、何をしたいのかを考える ---その邪魔をしてはいけないと思ったからです。
 
 
 そして今日、子どもたちから絵手紙が届きました。季節の風物詩が添えられたその画面からは、一人ひとりの顔が飛び出してきそうでした(^^)。このところ落ち込むことが多かったので、子どもたちから勇気をもらったようでうれしかった。
 子どもとの接し方なんて何も特別なことはない。大人であっても友人であっても恋人であっても同じなんだと、自分の間違いを気付かせてくれた一日でもありました。

(追記)
 お金(補助金や所得補償などの経済問題)と手間(都市からのボランティア)さえあれば、山村が蘇るなんて幻。もっと地元からすばらしさを情報発信していかなければ…。そこに住む人の誇りに共感して人は集まってくる。感じること、表現すること、行動すること---それがすべて。

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