日溜まりの川
〜山に曲げられ、もうそれ以上東をめざせない勝浦川は、光の子を落としていった。
勝浦町内への仕事から帰るお昼時。
勝浦川の飯谷の潜水橋をわたろうとしたとき、ふと目を留めた。
風が直線的に通り過ぎる、寒い午後。川がひなたぼっこをしている。


ぼくにとっては、突然の贈り物。
その時間が愛おしく写真に撮った。

川面に戯れる光の子が声を挙げながら駆け抜けていく。

勝浦川の飯谷は、勝浦川の屈曲点。
夏になれば、大勢の川遊びでにぎわう河原。
対岸の淵の水深は10メートルを超えると思われるこの川でもっとも深い地点。
水底では渦を巻いているとかで、この淵で何人も水遊びの人たちが亡くなった。

けれど、川は人をも小石も飲み込んで海をめざす。

銀河の光芒にも似たきらめき。
川岸の柳も手を挙げて見送る。
ひと冬のひとこま、水の出会いも一期一会。

紅葉の残り火のような里山の裾野を洗い、潜水橋をくぐって、ここで勝浦川は飯谷の屈曲点を迎える。
もうそれ以上東へ行けないから、北をめざした。

5万分の一の地図と、そのデータを三次元化した地図で見てみよう。

ぐっと、なにかの力で川が曲げられたような感覚さえ受ける。
勝浦川は、下流に移る手前で山懐に抱かれる。
ここで川は、海へ出るために砂を置いて身軽になるのかもしれない。

勝浦町沼江の上空4千メートルからの仮想映像。カシミール3Dで作成。
(2003年12月15日撮影)