川ガキのいるところ Traveling Gallery in the Open Air
村山嘉昭 写真展
   (8.11更新 地図追加)

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川ガキ?

元気な川には、たくさんの生きものに混じって
川ガキと呼ばれる生きものが生息しています。
水辺に生息するこの生きものは、
魚をはじめとする水生生物が大好きで、
橋や岸辺の岩から川へ向かって飛び込んだり、
仲間と競い合って泳ぐなど、
その生態はさまざまです。
かつては全国的に分布していましたが、
現在は絶滅が危惧されるほどまで減少しています。
川ガキ写真展 Traveling Gallery in the Open Air
写真展について

水辺を遊び場とする子どもたちの撮影をはじめてから、数年が経ちました。撮影というよりも、仲間に入れてもらった、というほうが正しいかもしれません。カメラを向ける時間より、一緒に笑い転げながら魚を追っていることが多い。そんな取材のやり方で、きれいな川があると聞いては各地へでかけ『川ガキとの偶然の出会い』を大切にしてきました。
 
セミの鳴き声が響きはじめると、水辺に現れる子どもたち。日暮れまで友だちと泳ぎ、水のなかにもかかわらず大きく口を開けて笑い、昼寝して、また泳ぐ。一日の大半をそんなふうに川で過ごす子どもたちを見かけるたびに、懐かしさだけでなく、川本来の流れ、川の未来について考えることが多くなりました。

年々変貌していく水辺の風景。ふと気づくと、魚のいた淵や草木が茂る河原など、それまで川と親しんできた場所が姿を消し、唖然とすることがあります。魅力ある水辺の減少は、そこを棲家とする多くの生きものと同じく、『川ガキ』にとっても大きな事件。あたり前のように水辺を遊び場とする子どもたちにしてみれば、大切なおもちゃを取り上げられたのと一緒といえるのです。

それでもニッポンの川には、まだまだ子どもたちの歓声がこだましています。青い空を映し流れる川に、日焼けした身体をおもいっきり浸し、アユ、イワナ、ヤマメを追いかけた夏。腕よりも太いコイを捕まえ、胸が高鳴った懐かしい日々は、今でも水辺の原風景として存在しているのです。

今夏、各地で開催する写真展は、それまで写真展の会場となったことのない野外空間などが舞台です。あるところでは、川の流れに写真を設置し、実際に川へ入り、水の抵抗を感じながら、作品を見る。『川ガキ』が潜っている様子を撮影した写真は、水中に沈め、水面のゆらめきを通して、作品を見る。作品を点在させることで、もしかしたら、日本で一番広い空間を使った写真展になることもあるかもしれません。

展示空間(Gallery)が全国各地を自由に移動(Traveling)し、またそれを見る観客(Gallery)も作品を探しながら河原を歩く。散歩やデートをしている人たち、釣人や魚を追っている子どもたちが、作品を見つけ、立ち止まり、楽しんでくれたら、どんなに面白いことだろう。

大人だって、子どもだって、すぐに『川ガキ』になれる。Traveling Galleryは、足を止めたすべての人が主人公となりえる、写真展といえるのです。そしてこのことがきっかけとなり、実際の川を感じてみることにつながれば、こんなに嬉しいことはありません。

そう、あなたの川は元気ですか?
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プロフィール
村山嘉昭(フォトエコロジスト)
1971年生まれ、神奈川県横浜市出身。
雑誌社の写真部勤務、テレビ・ラジオ局の広報写真を経て、
現在は人と自然のかかわりをテーマにした取材や撮影を行う。
http://www.river-stones.com

◆川ガキ写真展のホームページアドレス             
http://www.kawagaki.net
写真展スケジュール  → 阿波町での写真展の様子を見る
◆8月2日(土)〜8月17日(日) AM10:00〜PM7:00(最終日PM2:00まで)
The SAKE Factory
徳島県阿波郡阿波町元町32-1

オープニング記念パーティー
日時  8月2日(土) 13時〜(予定)
場所  阿波町酒蔵(The SAKE Factory) 
  • 8月1日に写真展の設営準備を手伝った人
  • たまたまその日に写真展に来た人
  • 川が好き、川ガキに郷愁を覚える人、そしていまも背の高い川ガキであり続ける人なら、どなたでもどうぞ。
  • 料理や飲み物をそれぞれが持ちこんでのポトラック形式です。誰でもどうぞ。
  • 設営をお手伝いしていただいた人たちをはじめ、内輪でオープニングパーティーをします。
  • パーティだけのご出席も歓迎。
写真展開催に至るエピソードとお手伝い募集
「はじけるよ!」

東京の友人から弾む声で電話があった。

2003年、彼からの年賀状は彼が川で撮った子どもをテーマにしたオリジナルカレンダーであったが、同封の文書には「今年は弾けようと思います」の文言があった。

現在30代の彼は、今もっとも充実した時間を過ごしているかもしれない。仕事と好きなことを両立していることもある。

それなのに、「もうぼくも40歳という年齢が見えてくるようになった。そう思ったとき、ほんとうに好きなことをもっとやりたいと思うんだ」とつぶやいた。

そう、人間は好きなことをやるために生きている。少なくとも、好きなことをやるために工夫し努力するのであって、そのプロセスが目的になってはつまらない。

仕事と遊びを分けるという考え方も違うと思う。だって、それならどちらかが我慢の時間になる。我慢することが生きることにとってもっとも有害だと思う。仕事こそ好きなことをやるべきでしょう。

東京の友人は村山嘉昭という。彼は酪農誌の専属カメラマンであるけれど、あちこちの雑誌に川ガキの写真を投稿し記事を書いている。ぼくは彼の写真は好きだ。画面から川遊びそのものが飛び出している。それは、彼が川が好きで好きでたまらないから。川の写真集をたくさん見てきたけれど、草いきれやせみしぐれとともに汗をかいた匂いが感じられるのは、村山嘉昭だけだ。

その彼が今年ははじけるのだと言う。そう、前々からカワガキの写真集を出すと言ってたけれど、それはもちろん実現するらしい。販売価格は千円台の前半に抑えるつもりだとも。それに加えて、移動写真展をやるのだ。

移動写真展とは…

これまでの写真展は、アフガニスタンを撮っても仏像を撮っても、その画面に打ちのめされるだけで、家に帰ればそれだけというよそよそしさが漂うことが多かった。それは、写真を撮る行為に付随するある種のストイックな精神(「すばらしいだろう」「努力をしなければ」「おまえにはできないだろう」というようなニュアンス)が感じられるからかもしれない。

ところが村山嘉昭は、川で写真展をするという。水中カメラで撮った子どもの写真は水に沈めておく。見上げるように撮った写真は、川の水面から少し高いところに背伸びをして見るようにする。そして写真の大半は、川のなかにじゃぶじゃぶ入って見てもらうという。

国内の川を舞台に行われることになったが、まっさきに候補に上がったのが徳島だった。徳島の場合、吉野川第十堰、穴吹川、海部川という全国区のエース級の川たちがある。四国の川ははじめての人でもすんなりと受け容れ、遊ばせ癒してくれるんだから。ぜひ見においで。

現場で展示をすることに意義があるのではない。そうではないんだ。主催者と参加者、見る人、見られる人の垣根を取り払いたいんだ。その垣根は、川に対してこれまで傍観者であった人たち、川に溶け込めなかった人たち、川と遊ぶことを忘れていた人たちへの伝言「川と友だちになってみようよ」。実際、川には人のくらしのすべてがあるとぼくは思う。彼が川ガキを撮る意味(メッセージ)も同じだろう。

(設営風景)
  
酒蔵の中庭で作業中。右端は同時開催のドルチェの店内
→ 写真展開催の様子を見る

このサイトは、村山嘉昭さんのプレスリリース文章を参考に、適宜加工してご提供しています。

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