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行事の概要
ふごは、馬脚のような仕掛けを使う
参加者は全部で二十人ぐらい。杉でできた市宇活動センターのなかにビニールシートを設けて作業場とした。
の重しに結わえた縄を交互に編み込んでいく。始めてだといいながら、あざやか! 
できあがったわらじ。小さな子どもは、「部屋で履こうっと」と言った。
市宇の山の名水を松の桶に貯めている。この名水は公募の結果、「天上の泉」と命名された。
 これらは、つい最近までこの辺りの里山で生活の糧として行われてた作業で、決して観光客のための実演ではありません。

 わら細工は、わらを数本束ねて、てのひらを微妙に擦りあわせながら強度を高めていく(あざなう)作業が基本です。
 このわらは、わらじの材料であるとともに、ふごの芯になります。
 場所は、上勝町市宇。2年前から地元の有志のお世話で始まった「棚田の学校」の番外編として行われました。

 この集落は、川沿いの県道から急な坂を上りつめた行き止まりの集落で、まるで尾根に張りついているかのようです。しかしそこには、棚田とそれを取り囲む森、そしてそこで暮らす人々の集落が形成されています。
 南に面したこの集落の棚田に二本の足で立つと、風がすり抜けていく…まさに「天上の楽園」です。

 場所は、上勝町役場から奥へ約10分ほど行ったところに「天上の楽園へようこそ」の看板があります。そこを急角度で上っていくのですが、山道に不慣れな運転手にはやや怖いかもしれません。
 さて、きょうは市宇活動センターにビニールシートをあつらえて特設の作業場とし、かつて生活の糧としてこれらをつくっていた地元のおばあさんたちをお手本としながら進めていきました。

 ほんとうに素人にできるか?と思いつつも、ふごづくりは、あっけなく終わりました。

 一方、わらじづくりに挑戦した20代の女性2人も、靴下を脱いだ足の指先にわらをかけながらなんとか完成。

 暮らしの周辺のものはすべて利用し、すべて自然に還元していく。環境生活といえば、ドイツのフライブルグがいつも話題になるけれど、里山の合理的な生活のなかに、水とかかわり、森とともに生きてきた百姓の暮らしがあったのです。

 「百姓」とは、山の仕事、川の仕事(治水や利水)、漁と猟、山菜やきのこなどの山の幸などに囲まれて、四季折々にさまざまな仕事をしていた人たちのことを指す言葉として使っています。

 棚田の学校もそうですが、都市からの人が訪れて作業したとしても地元の人たちにとってはむしろ足手まとい。それでも、都市の人たちとの交流を続けるのは、楽しいから。お金や経済で図れない何かが地元の人が感じているから。そしてそこを訪れる都市の人たちも…。

 棚田の学校は今年で三年目。随時案内を掲載します。次はあなたが、里山の暮らしを体感してください。
基本は縄を「あざなう」ことから。地元出身の脇坂さんの手つきは軽やか
徳島市内などから参加した人たちがほとんど。そして地元のお年寄り(といっても現役で働いている人たちばかり)が手取り足取り教える。
わらじは、このように足指をひっかけ、手足をすべて駆使してつくる。
できあがったフゴ(右上)。かつては、農作業の傍ら、赤ん坊を入れていたという。まさに万能カゴ