「都市と山村」交流定着 上勝・棚田の学校、開校3年目(2001.5.28の徳島新聞)

 農作業などを通じて都市部の人たちに山村の自然の魅力を知ってもらう「棚田の学校」(勝浦川流域ネットワーク、上勝町市宇活動センター運営委共催)が今年で3年目を迎えた。町外からの参加者は増え、受け入れる側の地元住民も交流を楽しみにするなど、都市と山村の交流は着実に定着しつつある。27日には、同町旭の棚田で本年度の学校が開校した。

 学校の教室は、開催に協力している植松時寛さん(70)、光江さん(67)夫婦=同町市宇=の棚田三アール。一年間を通じて月一回のペースで田植えや稲刈り、収穫祭などのイベントを開催している。初回の一九九九年度は、一回の行事あたり平均二十人程度の参加者があった。二〇〇〇年度は、地元住民の協力で茶摘みやかごづくりなどイベントを増やしたこともあり、参加者は一回の行事あたり二十五〜三十人にまで増えた。

 活動してきた二年間に、静かだったこの地域も活気づくなどの効果が表れていて、植松さん夫婦は「受け入れを始めてから、後継者不足などで耕作の意欲をなくしている農家にとっていい刺激になっている」と喜んでいる。

 二十七日には最初の行事、田植えがあり、あいにくの雨にもかかわらず町外から家族連れら十人が参加。参加者らは、植松さんが用意した野良着に身を包み、昔ながらの手植えに取り組んだ。ひざまで泥につかり悪戦苦闘しながらも、冷んやりした土の感触を楽しんでいた。

 同学校では「いにしえの里山発見」をテーマに今後、農作業以外にも地元に伝わる遊びや風習などを体験できるイベントを開く予定。

 三年連続で参加している松本美穂さん(37)=徳島市国府町延命、会社員=は「毎年違った趣向のイベントがあり飽きない。学校で知り合った地元の人に会いに来るのも楽しみ」と話している。