| 海部方程式 湿潤な山々に降った雨が清冽な流れとなって海にそのまま注ぐ。海には熱帯魚や珊瑚がある。そんな場所は、日本中を探しても南四国の一部と南紀から伊勢にかけての地域ぐらいだろう。しかも海部は京阪神から4時間。ここでは日本で究極の田舎ぐらしができるという人もいる。 二万五千分の一地図を片手に、海部の海、山、川と遊んだ。海部の海で泳ぐなら九月から十月初旬がもっとも快適だ。空を見ながらいつまでも浮かんでいられる。海部川に身体一つで流されてみる。白い砂利を敷きつめた川底庭園を発見する。南阿波サンラインの魚付林を降りていくと自分だけの渚が出現する。海に落ち込む滝のシャワーを浴びて昼寝をする。 癒しやほんものを求める人たちにとって、海部はそのままで魅力的。独自の土俵を持っている。潜在的な可能性が他の地域と違う。地元の有志もそれを感じている。 上勝町では葉っぱをビジネスに変え、人の熱意と温もりで人を招いている。最初に「棚田の学校」を始めたときには参加者は3人だったが今年は50人を越えた。棚田はどこにでもあるけれど「あのおばさんがいるから」と都市からの家族連れは通う。海部に欲しいのは心のやりとりであり、それを助けて企画運営をする人の存在。いい人を見つけてその人に任せるという単純な手法がもっともうまく行くと思う。 社会基盤の整備で全国どこでも同じような地域になった。なかには首をかしげるハード事業も少なくない。誇りを失った地域にはやがて朽ちていくコンクリートしか残されない。地元の人たちが誇りを持って暮らしていれば、そうはならなかったのに…。 海部活性化の方程式は、独自の土俵(磨かれていない原石だが潜在的可能性は高い)+コミュニケーション戦略(熱意と創意工夫の人にしくみづくりを任せる)+住んでいる人の誇り(Iターン+地元有志の協働)だ。 |