| 「涙そうそう」の夏川りみ(9.22改訂) |
| 沖縄出身の歌手は逸材揃いだ。かつて紅白で「花」をうたって感動させた石嶺聡子、大御所喜納昌吉(チャンプルーズ)にネーネーズ、りんけんバンド、サトウキビ畑の寺島尚彦。それにぼくのが好きなBEGINがいる。日本のポップスに沖縄の歌い手がいてくれるからうれしくなる。 本土の歌(ポップス)はパフォーマンスが歌を覆い隠していてぼくには楽しめない。所得番付の上位常連となっているアーティストたちをはじめ、チャートをにぎわしている大半がそうだ。ところが沖縄のアーティストたちは飾らない。その代わりに歌そのものをぶつけてくる。だからこちらも真剣勝負で聴く。 2001年の沖縄のラジオ局で年間1位となった曲がある。それは夏川りみの「涙そうそう」。森山良子作詞、BEGIN作曲である。。夏川りみは、1973年生まれ、BEGINと同じく石垣島出身。今回は、9月21日発売の初のフルアルバム「ていだ〜太陽、風ぬ想い」を聴きながらリアルタイムの感想を書いてみよう。 「てぃだ」の入りは、安里屋ユンタから。いきなり浴びせられる軽やかな舞い。八重山民謡の重厚な掛け合いに慣れている耳にはとびきり新鮮に感じられた。CDが終わったあと、自分も同じように口ずさんでいる。羽毛のような軽やかさは、彼女の血のなかに旋律が溶け込んでいるからだろう。この民謡はこんなにも胸躍る歌だったのか。 聞き古した曲に新しい息吹を吹き込んだ編曲の妙も花を添えている。シンプルなアレンジでりみの歌声を引き立てている。BOOMの宮沢和史とは違う「島唄」の節回しにも沖縄の風が吹いている。 夏川りみは、清楚で強い声を持った女性であるが、その声に浸れるのが「芭蕉布」。沖縄には語り継がれる負の遺産があるけれど、歌は過去と現在をつなぎ、現在から未来を俯瞰し、いのちをつなぎながらたゆたう。「芭蕉布」は現代沖縄のスタンダード曲だが、ぼくたちはその響きにからだを預けたい。 タイトル曲の「涙そうそう」の歌詞が切ない。ゆったりと心を揺さぶるメロディーが寄り添い、それを清楚な声の女性が等身大で向かい合う。夏川りみは情感を込めて、しかも飾らず歌う。毅然とした強さがあればこそ、歌はいっそう輝く。切ないけれど、その裏には達観にも似た愛する人への変わらぬ想いがあるはず。だから誰の胸にもある愛しく閉じこめた領域にまっすぐに飛び込んでくる。 晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔 思い出遠くあせても さみしくて 恋しくて きみへの想い 涙そうそう 会いたくて 会いたくて 君への想い 涙そうそう 感受性の豊かな人は切なさに浸れる。でもそれは希望に満ちた心の動きに違いない。 → 癒し癒されるとき〜夏川りみさんに思う 「ていだ」/夏川りみ ![]() 夏川りみ「ていた」の収録曲がわかります。 アマゾン書店では、送料無料で買うこともできます。 ▲戻る |