• 5月16日(日) 種を買う。水に浸けておく。
  • 5月21日(金) 20本以上が芽を出す
  • ○月▲日 里親募集
ひまわり

ポケット図鑑を覚えているだろうか?
横長のカラー写真で、植物、魚、昆虫などのシリーズがあった。子どもの頃に夢中になった図鑑(実は今も手元にある)。うちの近所に、日本一短い路線といわれた小松島線の保線区があり、確か昭和40年代まではSLが走っていて阿波池田行きの客車を引っ張っていた。
これについては、うちの近所の仁木さんが開設しているWebサイト「日本一短かかった小松島線」がある。小松島で生まれた者には懐かしい場面が散りばめられている。

その頃は舗装していない土の道があり、道ばたには近所の人が畑をつくっていた。そこには、アオイやアサガオ、桜並木や大きなクスの木を従えた小さな社があり、そこを三条仲良し広場と呼んでいた。鉄道をはさんで北側には、時計台(よじのぼると空洞があって絶好の隠れ家)がある新港公園もあった。

三条仲良し広場を中心に、ゴムボールでの野球、陣取り、ひまわり、ロクムシなどの遊びをした。

ロクムシとは、三角形に位置する円を描いて攻撃と守備に分かれる。攻撃は誰かが三角形を六周すれば勝ち。円のなかは安全だが外へ出たときにボールを当てられるとアウト。ただし円のなかでじっとしていれば「ムサレル」(封鎖される)。

ムサレルとは、守備側の目標。3つの円のうち、2つの円でボールを投げ合って六往復するとその円は封鎖されて攻撃側は出て行くことになる。ただし守備側が円からはみだして受けたり、落球すればカウントは0に戻る(そして再び、0.5、1,1.5…と進んでいくわけだ)。

だから守備側としては、背の高い年長の子どもやキャッチボールのうまい者に担わせる。そうそう、どんな遊びも年少から年長まで混じっていたが、年少の子どもに同じルールは適用しない。それを「メンメンチャ」と呼んでいた。大きな者と混じっても不利にならないような特権が与えられたのである。この呼び方は地方によって違っていて、例えば徳島市内では「アブラゴ」と呼んでいたのではないかな。

こうして守備側は3つの円を封鎖しようとするが、攻撃側の誰かが六周しないうちに、いよいよムサレルという最後の六往復目に、攻撃側の誰かが自らボールに当たって自己犠牲のアウトとなる。こうしてひとりを犠牲にして守備側の封鎖をご破算にする。これはやむをえない。ところが自己犠牲となる者がボールに当たらずに6往復のキャッチボールを成し遂げるとロクムシが成立して攻撃と守備が交替となる。

攻撃側は、円のなかにいるときに守備のキャッチボールを邪魔することができる。例えばボールに当たらぬよう球道を隠す。ただし守備の人に触れると妨害となってアウト。守備する者の目隠しをするのも反則。

ロクムシでの、走る、投げる、受けるのなかに瞬発力、持久力、判断力、チームワークなどが養われる。おとながやってもおもしろい遊び。復活させたいと復活させたいと思いませんか?

鉄道の保線区からしばらく行くと旧港と呼ばれる岸壁がある。ここは明治から昭和にかけては四国と関西を結ぶ連絡船の発着場であり、文字通り四国の東玄関として機能した。旧港の対岸の隣りには横須の松原があり、京阪神からの海水浴客でにぎわった。ぼくが小学校低学年の頃にはまだ遠浅の海水浴場であり、海から上がったときに海の家で食べる飴湯が楽しみだった。

旧港の発着場にはハイカラ館という施設があった。阿波国共同汽船が大正8年に旧港に建てた船客待合所で、異国情緒あふれる建物はハイカラ館と呼ばれて親しまれていた。ところがぼくの子どもの頃には、廃墟と化し「ユーレイヤシキ」と子どもらは呼んでいた。かつての広大な鉄道保線区は、現在では、タヌキ公園、合同庁舎、潮風公園となっている。話を戻そう。

今も思い出すのは、ひまわりだ。近所の人たちがおおらかに植えていたひまわりがおとなの背をはるかに越えて大輪の花を咲かせる。夏の陽射しがいっそう高く見せる。せみしぐれは鳴りやむことはない。花がしぼんで下をうつむくと、びっしりと種がくっついていたあのひまわり。

ビオトープという言葉はまだ世になくて、生態系という学問すら研究している人がいたかどうかという時代、高度経済成長の足音高く、どこか人々の暮らしも貧しいながらも活気があった昭和40年代。オオマツヨイグサ、ツユクサ、イタドリなどが道沿いに生え、半ズボンの足をぼりぼりと掻きながら、ありとあらゆる植物や虫、トカゲやヘビに囲まれていた夏。小学校では、アサガオ、ひまわり、ヘチマを育てたが、「双葉」「本葉」という言葉を聞くと今でもうれしくなる。

よし、ひまわりを植えよう。5月16日には近所のすーパーで種を買い、一日水に浸して蒔いた。場所は事務所の裏。幅1メートル長さ10メートル程度の狭い空間だが、この小さな空間で多様な生き物がひしめいている。それらにも焦点を当ててみよう。これからしばらくひまわりと付き合うことになる。