| 東赤石山 ガスにかすむ山頂 伝説の銅山で起きた事件とは? (サスペンス路線。今回は浅○光彦で) |
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![]() ![]() 最初の渡渉点の吊り橋 ![]() 渡ってみる? ![]() ![]() アメゴが泳いでいた。沢沿いの景観は心なごむ。 ![]() 公子さんは黙々と歩を進める。 ![]() 登山口から1時間で八間滝 ![]() 露を受けて。 ![]() ![]() 根が強く張りだしている点に注目。人工林は挿し木苗が多いが、やはり天然物(実生)は違う。これで山の崩壊を防ぐとともに下流の洪水、渇水を防ぐ。 ![]() コケが多い沢沿いの路。自分なりのオブジェを見つけた。 ![]() 岩肌を歩く。 ![]() 大きなどんぐり。何の実だろう。 ![]() ご存知トリカブト。 ![]() 明石山荘は30名泊まれる(要連絡) ![]() 岩山が続く八巻山周辺。 ![]() いよいよ東赤石山へ。 ![]() 至るところに巨岩が。 ![]() 長崎から来たグループが下山する。 今夜は温泉が待っている。 ![]() 徳島の浅○。残念ながら兄は刑事局長ではない(いない)し、お手伝いさんもいない。しかし女性に持てる(?)のと独身という点は同じ。 |
「浅○ちゃん、別子銅山の歴史について書いて欲しいんだけど、いい?」 「別子銅山といえば、約30年前に閉山していますね」 「そうなのよ、その銅山の300年の歴史を繙いてわかりやすくまとめてくれる?」 「いいですよ、で、それだけですか?」 「近くにね、東赤石山という山があってね、そこの自然も絡めて中高年のハイカーにアピールするような文章、浅○ちゃんならできるよね」 日本屈指の銅山と言われた別子銅山の近くに、蛇紋岩で覆われた険しい表情の山がある。高山植物、花の種類が多いことでも知られる。今回は、愛媛県の東赤石山に登ることにした。 前日の深夜に自宅を出る。徳島自動車道から松山自動車道に入り、三島川之江インターで降りて、県道を1時間走って登山口に着いたのが3時。6時に起きる予定なので3時間の仮眠を車内で取る。 これは、時間節約のため体力にものを言わせた20代の登山でやっていたパターン。夜間は山道が走りやすいし(対向車がわかる)、都市部を抜けるときに渋滞がないことも利点。山道では、タヌキやシカ、ウサギなど小動物との出会いもある。 東赤石山の登山口は南斜面に数カ所あるが、瀬田地区から登ることにした。 まだ眠り足りないが、予定通り6時に起床。コンロで料理をつくる。ご飯を圧力鍋で炊いて蒸らす間に、鶏肉をマーマレードと醤油で蒸し焼きにする。さらにチンゲン菜とシメジをオリーブオイル、塩で炒める。それに即席のみそ汁を加えてできあがり。 登山の前の朝食にしては手間がかかるものをするんだな、と思われる人もいるだろうけど、食べることでエネルギーを貯えないと東赤石山はなかなか手強い。さらにあまりを詰めて変化を持たせれば昼の弁当にもなるから一石二鳥。昼は、どん兵衛とパンを付け加えてみた。 20代の頃は、クラッカーやカロリーメイト、パンなどを小休止の間に水分補給とともに口にするという行動食だった。ときどきは、登山用携帯ガスで沢の水を湧かしてコーヒーをたてたものだ。山で食べる楽しみを発見してからは、山でこんなものも食べられるという贅沢を楽しんでいる。 山で食べてはいけないもの、それはカップラーメン。ゴミとなるし、スープを飲み干すと、喉が乾く。人によっては大量に添加されている化学調味料で体調を崩す。 クルマのなかで眠るのも慣れた。完全な闇のなかで、しーんと静まりかえった山中でときどき「ギャー」とか「ポキッ」などと音がするのだけれど、これは小動物が動いたり、木の枝が落ちたりする音(だと思う)。夜露に打たれることはないし、アクシデントに遭遇することはない。ぼくは寝相がいいので、朝まで寝返りを打たないで寝られる(特技のひとつ)。シートを倒し、足元に新聞紙を引いて靴を脱いで足を投げ出し、寝袋にくるまればいつの間にか眠りに落ちる。 6時過ぎ、早い人は、料理しているぼくの前を通り過ぎて登り始めている。天気予報では降水確率0%ということなのだけれど、朝から雲は厚く太陽は顔を出しそうにない。 ゆっくりしていると8時を回ってしまった。登り始めてすぐに分岐。そこを左に上がっていく路がルートに見えるが、沢沿いに直進する狭いルートのほうに赤い目印がある。ぼくはそれぞれのルートを見比べ、沢沿いが山頂をめざす方向であったので、目印に従って直進した。 しかしそのうち赤テープが消え、よく踏まれているはずの踏み跡ではないことに気付いた。分岐まで戻るのはロスタイム。もし左に分岐したさっきの路が登山路なら、あの辺りを通るはず、そのためには、あの尾根に取り付いて…などと考え、地図とコンパスを見ながらけもの道に歩を進めた。 山では、5メートル先に登山道があっても気付かないことがある。そのうち少し平坦で樹木のない草地に出て展望が開け、送電線の鉄塔が見えるようになった。おそらくこの草地の向こうに登山道があるはずだが、背丈ほどに繁茂している。突き進むことはやめて、谷の地形、尾根の張り出し、鉄塔から位置を同定したので、いったん西向きに進み、5分後には登山道と合流した。 登山道をしばらく行くと、あの草地の終端があり、予想した通りだった。藪を漕いでも5分ぐらいだったかもしれないが、地面が見えない密集した草地をあえて進む必要はない。人が入らない動物の通り道には罠が仕掛けられていることもあるかもしれないし、岩山なので雨水が浸食した洞穴が口を開けていたらどうする? それにしても違うルートに目印を付けるのはどうだろう。少なくとも何割かの人は、沢沿いに迷い込むに違いない。 しばらく行くと、女性の一人歩きに出会った。いつも何か(わざとらしい)ドラマのようだが、ぼくが行くとたいてい女性との出会いがある。徳島の浅見光彦と呼ぶ人も少なくないが、これはぼくが独身であることにもよる。 女性にあいさつをすると、高知県からやってきた人で、この山は初めてという。公務員をしているとのことで、休みを消化するために平日に来たという。連休の狭間の平日なので(明日は休みと思うと)なんとなくうれしい山登りである。ぼくは、写真を撮りながらゆっくり行くつもりなので、先に行ってもらおうとペースを落とした。 東赤石山の南面は、自然林が多く、そのなかを幾筋もの沢が流れていて趣がある。なかでも登山口から1時間ほどのところに現れる巨大な滝は見応えがある(八間滝という)。大きな滝以外にも、岩盤を滑るような滑滝や小さな滝がいくつもあり、登山道は飽きない。 ところどころ崩壊した登山道を補強している木道や木の橋があるのだけれど、最初の渡渉点に架かる木の橋はねじれていて、進むにつれたわわに揺れる。驚いて歩みを早めるともっと振幅が激しくなる。バネの上を歩いているみたいだ。何人かの人は下の沢に転落しただろうな。もっとも落ちたところで落差2メートル、水深は腰から下なので、頭から落ちない限り生命に別状はない。 女性の名前は聞かなかったけど、公務員とのことなので仮に公子さんとしておこう。公子さんは、東赤石山は初めてなので道連れができてほっとしている様子。高知にはいい山がたくさんありますね、と話しかけたら、これまでに登った山をいくつか教えてくれた。登山といえば、中高年、特におばさんが多く、若い女性は極めて少ない。この日すれ違ったなかで、若い女性(というか、若い人)は公子さんだけだった。 自然のなかで五感を遊ばせることができるのに、癒しを求める女性が登山をしないのは理由がある。 それは、トイレの問題。それと連れていってくれる、つまり登山が趣味という若い男性が少ないこと。だから公子さんもひとりなのだ。 インターネットに掲載してもいいですか、と許諾をいただく。歩く人がいれば、山の写真はいっそう映える。ぼくは、山と渓谷社の依頼で、四国で一番美しい三嶺という山を登る若い男女を撮影したことがある(ヤマケイJOYの1999年秋号で5ページ17カット)。 何度か沢を渡る。そして沢の左岸に渡る。ぼくは水辺で昼食を取ることにした。しばらく行くと沢から離れる。 やがてシャクナゲの群落に出会う。初夏にはどんな光景になるのだろう。 最後の渡渉点から1時間ぐらいで赤石山荘が見えてくるとともに、東赤石山の西にある急峻な八巻(はちまき)山が見えてくる。四国の山でないような風景に思わず声が出る。しかも山頂付近はガスがかかり、いっそう威厳を持って見下ろしている。 写真撮影をしながらゆっくり歩いてきた。ヘッドランプを持ってきていないので、暗くなる前には下山したい。赤石山荘を見たあとで、八巻山経由はやめて山頂へのトラバース道を取る。蛇紋岩の巨岩と五葉松が点在する庭園のような風景のなかを東赤石の山頂へ向かう。 頂上に着いたのは14時。ガイドブックに記されている参考タイムでは、高山植物や風景に浸る時間はない。頂上をひたすらめざす(ピークハンティング)ことを目的とせずに、道中をたっぷり楽しみたい。 頂上には長崎県から来た4人のパーティがいた。前日は石鎚山を登ったところ、山頂での気温は6度であったし、ガスで展望がきかなかったという。今夜は、温泉で骨休め。 晴れていれば、瀬戸内海、石鎚山、遠くは剣山系まで見えるはずなのにガスで残念。ブナの巨木で知られる大座礼山が南の正面に見えているが、すぐにかすむ。 帰路は、山荘を経由しないルートでゆっくり降りていく。こうして登山道に着いたのは17時過ぎ。植林地帯を進むときは足元が暗かったが、林道まで降りてくると、まだ明るかった。 「浅○さんは、これからどうされますか?」 「高速道路を通らずに帰ろうかと思います」(どこかで食事でも…) 「そうですか、それでは、わたしも高知へ帰ります。お気を付けて」。 「あっ、それじゃあ…」 彼女の赤いワゴン車を見送った。 帰りは伊予三島の郊外にある山中の展望台で1時間半ほど仮眠を取り(3時間の睡眠で11時間行動したから)、取り崩していた「眠り貯金」に元金を補給する。川之江市内のフジグランというショッピングセンターでトンカツとドーナツ(なぜかこんなものが欲しくなる)を食べて、利子(エネルギー)も付けた。満腹になったので高速道路を通らずに23時に帰宅。 そっと、ドアを開けると…。 「ぼっちゃん、どこへ行ってたんですか?」 「えっ、ちょっとその辺りの山へ…」 「高知の○○さんという女の人から電話がありましたよ。また変なことに首を突っ込んでいないでしょうね」 (…続く) (注)斜体字は創作です。 |
![]() しばし歩みをとめる沢歩き。夏の涼感を越えてこれからが秋本番。この水は、銅山川を経て吉野川に注ぐ。 ▲デジタルカメラ日記 |
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